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髪を切るということ

【髪を切る】と言うことは女性にとって大きな意味があります。
昔、髪は女の命などと言われていました。
なぜでしょう?それは古来より女性が髪を短くする風習がなかったのです。

特に日本では長い髪を結い上げることで髪型の流行があり、独特の美意識が生まれました。
未婚・既婚さえも髪型で分けていました。
また、髪には霊力が宿るといわれてきました…これは外国でも同様のケースがあります。


それ故に髪を切る事は何かとの決別を意味していました。
髪を切り頭を剃って尼さんになる事は俗世からの決別であり、また夫が死んでしまうと結っていた髪をおろし一生涯夫の菩提を弔います。
近世では戦地に向かう人が髪を切って残していきました。
戦地で死ぬかもしれない…そのための遺髪という意味とこの世との決別の覚悟をも意味しています。(これは男性ですが)
もっとも男性でも昔は覚悟の意思表示として髪を切る事がありました。

また近年には失恋すると髪を切る事がありましたが、これも過去の恋人との決別を意味し自らの心の整理をしたものです。
ですから、いまだにカットしてスタイルチェンジすると会社の上司や同僚などに「失恋したの?」なんてからかわれるのです。
このように髪を切る事が大袈裟な意味を持っていた時代と違い今では気軽にイメージチェンジを図り気分一新させる程度のものになりました。しかし、希望したイメージにならなかったら気分一新どころではありません。
しばらく浮かない気持ちで過ごさなければなりません。

美容師はお客様の希望を十分汲みあげ気持ち良い髪型を提供しなければなりません。
ここで重要なのが十分なカウンセリングです。と言うのも髪は一度切ればつなげられません。
つまり医者と同じようにインフォームドコンセントが我々にも大事だと言うことです。

髪型にまつわる歴史

現代はおしゃれ・マナー・規則などによりほとんどの人が定期的に髪を切っています。
髪を切る動機は「伸びたから」と「変えたいから」でしょうか。他にあるとすれば感情によるものだと思います。
では昔はどうだったのでしょう?

 

歴史的に見ると一般の人が髪を切る習慣はそれほど古くありません。
縄文・弥生時代は埴輪などによると束ねていたようです。
平安・鎌倉時代になると男女の髪型は大きく分かれてきました。
男性は戦いと権力を意識した髪型になり、女性は美を意識したスタイルに大別できます。

では切るということに絞って考えてみるとむしろ剃るということの方が多かったようで、男女とも仏門に入るときは頭を剃りました。
また武士は兜を冠るため頭頂部を剃りました、お馴染みの月代です。
これは明治初期まで続く習慣になりますがその中にも流行はありました。
女性の髪型はにぎやかで平安・鎌倉時代は長きが良しでしたが、束ねる事で行動的になりました。
元祖は出雲の阿国です。以来束ねた毛先でおしゃれを表現し後に日本髪と呼ばれるスタイルへと繋がっていきます。
この日本髪スタイルはほぼ昭和初期までは根強く残りました。
男性のザンギリ頭は明治初期に文明開化とともに変わりましたが女性はザンギリ頭にするわけには行きません。
結局大正期のモガ・モボが流行った頃からやっとショートカットが登場した様です。

もっと詳しく知りたい方は荒俣宏氏の髪の文化史(潮出出版)をご覧ください。